補助金と助成金は何が違いますか?公的資料で裏が取れる違いと、取れない通説を分けました
2026-08-27 公開 / 2026-08-27 に公式資料で確認
制度の要点
- 確認した公的機関
- 厚生労働省・中小企業庁・中小機構・NEDO
- 裏が取れた違い
- 1点(補助金には採択という競争段階がある)
- 裏が取れなかった通説
- 2点(所管による区別・助成金は必ずもらえる)
- 後払いかどうか
- 補助金・助成金とも後払いを公式資料で確認
- 確認日
- 2026年8月27日
補助金と助成金は何が違いますか?
公的資料で裏が取れる違いは、補助金には「採択」という競争的な段階がある、という1点です。ルクシア補助金デスクが2026年8月27日に厚生労働省、中小企業庁、中小機構、NEDOの公式ページを確認しました。よく説明される「所管の違い」と「助成金は必ずもらえる」の2点は、定義として明記した公的ページを確認できませんでした。
「補助金は経済産業省、助成金は厚生労働省」は正しいですか?
定義としては確認できませんでした。中小機構のJ-Net21には、助成金の例として厚生労働省が所管する雇用調整助成金を挙げる一方で、経済産業省が所管している「助成金」の中には補助金の色合いが強いものもある、と記載されています。同じページには、助成金と補助金という言葉は必ずしも明確に区別されていない、とも書かれています。
反対の例が両方向に実在します。2026年8月27日に公式ページで確認しました。
- 厚生労働省が所管する「補助金」があります。高度安全機械等導入支援補助金は、厚生労働省の「各種助成金・奨励金等の制度」の一覧に掲載されています。
- 厚生労働省が所管する「補助金」はほかにもあります。医療施設等施設整備費補助金は、厚生労働省が交付要綱を公開しています。
- 経済産業省系の法人が交付する「助成金」があります。NEDOの交付規程一覧には、末尾が「助成金交付規程」の規程が8本、「補助金交付規程」の規程が14本、同じページに並んでいます。
「助成金は要件を満たせば必ずもらえる」は正しいですか?
中小企業庁と中小機構の説明としては存在しますが、厚生労働省の一次資料では確認できませんでした。むしろ、そう読めない記載が複数あります。
中小企業庁のミラサポplusには、助成金は要件を満たして申請すれば原則受給できるものが多いが、補助金は要件を満たして申請しても必ずもらえるわけではない、と記載されています。この文は補助金の側を説明する文脈で書かれたものです。
一方、厚生労働省の一次資料には次の記載があります。いずれも2026年8月27日に確認しました。
- 人材開発支援助成金のパンフレット(令和8年8月3日版)の45ページには、計画届を提出したことをもって助成金が確実に支給されるものではない、支給審査の上で支給・不支給を決定する、と記載されています。
- 業務改善助成金の令和8年度リーフレットには、予算の範囲内で交付するため申請期間内に募集を終了する場合がある、と記載されています。助成金にも予算枠による打ち切りがあります。
- 雇用関係助成金の共通の受給要件には「支給のための審査に協力する事業主」であることが挙げられ、不支給要件が12項目列挙されています。
つまり助成金にも、事前の計画届、支給審査、予算枠があります。「申請すれば自動的に支払われる制度」ではありません。
では公的資料で裏が取れる違いは何ですか?
補助金には「採択」という段階があり、雇用関係助成金の一次資料には採択に相当する段階の記載がない、という点です。
中小企業庁のミラサポplusには、補助金は申請したら必ずもらえるものではなく、補助の有無や金額は事前の審査と事後の検査によって決まる、と記載されています。同じサイトの補助金入門には、審査して補助金の交付に値する事業として採択される、公募が締め切られてから採択まで通常2か月程度、と記載されています。中小機構のJ-Net21には、補助金は採択件数や金額があらかじめ決まっているものが多い、と記載されています。
対して厚生労働省の3つの助成金の手続きの流れには、他の申請者と比較して順位を付ける段階の記載がありません。あるのは計画届の事前提出と、実施後の支給審査です。
| 段階 | 補助金(中小企業庁の記載) | 雇用関係助成金(厚生労働省の記載) |
|---|---|---|
| 事前の手続き | 公募への申請 | 計画届・キャリアアップ計画の提出 |
| 競争的な選抜 | 審査のうえ採択(採択件数が決まっているものが多い) | 該当する記載なし |
| 実施 | 交付決定の後に事業を実施 | 交付決定または計画届の後に実施 |
| 事後の手続き | 実績報告と検査 | 支給申請と支給審査 |
| 受け取り | 精算払い(後払い) | 後払い |
表の要点は、補助金と助成金の手続きは「競争的な選抜があるかどうか」の1段階だけが公的資料で明確に違い、それ以外の段階の構造は似ている、という点です。
補助金と助成金は、どちらも後払いですか?
どちらも後払いです。2026年8月27日時点の公式資料で確認しました。この点に公的資料上の差は見つかりませんでした。
中小企業庁のミラサポplusには、補助金は原則として事業終了後の後払いであり、一度は事業者が補助対象となる費用の全額を立て替えなくてはならない、と記載されています。
厚生労働省の3つの助成金も後払いです。業務改善助成金は交付申請、交付決定、事業の実施、事業実績報告、交付額の確定と支払いの順です。キャリアアップ助成金は取組後6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に申請します。人材開発支援助成金は訓練終了日の翌日から2か月以内に申請します。
厚生労働省の代表的な助成金はいくらもらえますか?
2026年8月27日に公式ページとリーフレットで確認した3制度の金額です。いずれも令和8年度の内容で、年度が変わると金額も変わります。
キャリアアップ助成金(正社員化コース)
1人当たりの支給額です。金額は「重点支援対象者」と、それ以外で分かれます。
| 転換の種類 | 企業規模 | 重点支援対象者 | それ以外 |
|---|---|---|---|
| 有期雇用から正規雇用へ | 中小企業 | 80万円 | 40万円 |
| 有期雇用から正規雇用へ | 大企業 | 60万円 | 30万円 |
| 無期雇用から正規雇用へ | 中小企業 | 40万円 | 20万円 |
| 無期雇用から正規雇用へ | 大企業 | 30万円 | 15万円 |
表の要点は、同じ正社員化でも重点支援対象者かどうかで金額が2倍違う、という点です。
転換後6か月分の賃金を支払う必要があり、転換前の6か月と比較して3%以上の賃金増額が条件です。各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出しておく必要があります。
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
経費助成率は、正規雇用労働者等の訓練で中小企業45%、大企業30%です。有期契約労働者等の訓練は70%です。賃金要件または資格等手当要件を満たす場合は15%が加算されます。
賃金助成額は1人1時間当たり中小企業800円、大企業400円です。賃金要件等を満たす場合は中小企業200円、大企業100円が加算されます。
経費助成には1人1訓練あたりの限度額があり、訓練時間で3段階に分かれます。10時間以上100時間未満は中小企業15万円、100時間以上200時間未満は30万円、200時間以上は50万円です。1事業所あたりの年度の支給限度額は1,000万円です。
業務改善助成金
事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合の助成で、最大600万円です。助成率は事業場内最低賃金が1,050円未満なら5分の4、1,050円以上なら4分の3です。
令和8年度の申請期間は令和8年9月1日からで、締切は申請事業所に適用される地域別最低賃金の発効日の前日と令和8年11月30日のいずれか早い日です。交付決定の前に設備を導入した場合は対象外になります。
中小企業庁のサイトでは補助金と助成金をどう扱っていますか?
区別せず同じカテゴリで並べています。中小企業庁のミラサポplusの「人気の補助金」のページには、厚生労働省が所管する雇用調整助成金と業務改善助成金が、中小企業庁系の補助金と並んで掲載されています。
制度を探す立場では、補助金と助成金を分けて探す必要はありません。分けて探すと、名称が「助成金」の制度を見落とします。
この記事で確認できなかったことは何ですか?
3点あります。断定できないため、この記事では結論を書いていません。
- 「補助金は経済産業省・中小企業庁、助成金は厚生労働省」という所管による使い分けを、定義として明記した公的ページは確認できませんでした。傾向への言及と反証の実例は確認できました。
- 厚生労働省の一次資料に「要件を満たせば原則支給される」と明示した記載は確認できませんでした。確認できたのは、審査、不支給要件、予算枠に関する記載です。
- 補助金と助成金の法令上の定義的な区別は、今回の確認範囲では扱っていません。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の条文は確認していません。
この記事はどうやって調べましたか?
2026年8月27日に、厚生労働省(mhlw.go.jp)、中小企業庁のミラサポplus、中小機構のJ-Net21、NEDOの公式ページを開いて記載内容を確認しました。助成金の金額は、厚生労働省が公開しているリーフレットとパンフレットのPDF本文から転記しています。
税理士事務所や社会保険労務士事務所のブログ、補助金の解説サイトは使っていません。通説として広く書かれている説明であっても、公的資料で裏が取れなかったものは「確認できなかった」と書いています。
助成金の金額と要件は年度ごとに変わります。申請の前には、必ず厚生労働省の公式ページで最新年度のリーフレットを確認してください。
- 中小企業庁 ミラサポplus 補助金とは
https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/guide/ - 中小企業庁 ミラサポplus 補助金入門 STEP1
https://mirasapo-plus.go.jp/hint/25141/ - 中小機構 J-Net21 補助金と助成金の違い
https://j-net21.smrj.go.jp/solution/qa/financeqa/Q1339.html - 厚生労働省 各種助成金・奨励金等の制度
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/joseikin_shoureikin/index.html - 厚生労働省 高度安全機械等導入支援補助金
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27384.html - 厚生労働省 人材開発支援助成金パンフレット(令和8年8月3日版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf - 厚生労働省 業務改善助成金 令和8年度リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001693416.pdf - 厚生労働省 キャリアアップ助成金 正社員化コース
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html - NEDO 助成金・補助金交付規程一覧
https://www.nedo.go.jp/itaku-gyomu/hojo_josei_koufukitei_koufukitei.html